現在の共有フォルダや SharePoint を中心とした“ファイル管理”では、データ分散、最新版不明、検索性の低下といった課題が発生しており、AIを使う以前に、文書管理の基盤整備が必要な状況です。
製薬企業やハイテク企業では特に、
SOP(Standard Operating Procedure:標準作業手順書)や報告書など、正確さ・透明性・改訂履歴の管理が要求される文書が多く、従来のファイルベース管理では限界が見えやすい領域です。
本提案では、Confluence で健全な文書管理体制を作り、Rovo を必要な場面だけで活用する 効率的なAI活用 をご提案します。
■まず整えるべきは“情報の形”と“置き場”
AIがどれだけ高性能でも、元データが乱れていれば期待した効果は出ません。
まずは文書管理の基盤を整えることが重要です。
1) 文書・情報の置き場を統一
部署ごとに Confluence スペースを設置
フォルダ階層からページ階層へ移行
文書の所在と役割が一目で分かる構造にする
2) 文書テンプレートの標準化
特に製薬やハイテクメーカー等で重要なのが SOP(標準作業手順書)。
▼SOPとは?
業務を誰がやっても同じ品質で実施できるようにするための手順書
製薬・医療などの規制産業では 必須の文書体系
目的・適用範囲・手順・注意事項・記録方法・改訂履歴などを明記
監査対応・トレーサビリティ確保に必須
新人教育や属人化防止にも大きく寄与
SOPのような改訂が多く、正確性が求められる文書ほど、
Confluence のバージョン管理・共同編集と相性が良いため、
ファイル運用よりトラブルが大きく減ります。
■Confluence を基盤に据えるメリット
●情報を“ページ化”して一本化
ファイルではなくページで管理することで、「どれが最新版?」という状況を根本解決。
●改訂履歴が自動で残る
SOPや手順書の改訂履歴管理に非常に強い構造です。
バージョン管理が標準でされるため以前のバージョンとの比較も可能です。
●リアルタイム共同編集
レビュー〜承認のサイクルが速くなるため、研究開発・品質管理での文書更新がスムーズになります。
ページ内でコメントができるため修正したい部分の指摘等がスムーズです。
■Rovo(AI)は“必要なところだけ”に使う
情報基盤が整った後に AI を使うと、効果が最大化します。
●Rovo の主な役割
Confluence+SharePoint+Teams+Outlook…を横断検索
文書の要約やドラフト生成を補助
SOP改訂案のたたき台作成
議事録の整理・情報抽出
ただし、SOPの内容そのもの(手順の正しさ)はAIでは決められません。
現場の知識・判断が必須で、AIは“作成作業の効率化”を支援する立ち位置です。
■導入後の理想像
Before
フォルダが深く、情報が迷子
SOPの複数バージョンが散在
文書作成に時間がかかる
SharePoint と共有フォルダでデータが二重管理
After
Confluenceで文書体系が整理され“正しい場所に正しい文書が存在する”状態に
SOPの改訂履歴・承認がシンプルに一元管理
Rovoで必要な情報が数秒で引き出せる
文書作成時間が大幅削減
■まとめ
今回のポイントは、AIを無駄に使わないために、まずは“情報管理の土台”を整えること。
Confluence → 文書構造と管理の基盤
Rovo → 必要箇所だけAIで効率化・検索性向上
という役割分担で、メーカーに求められる品質・再現性・追跡性を満たしつつ、業務のデジタル化と効率化を実現できます。
