教科書1見開きから、レベル別教材を一括生成:ClaudeとOpus 4.7の教育活用
同じクラスの中に、読解力が学年相当の子も、少し手前の子も、先を行く子もいる——教える側は、同じ内容を複数のバージョンで用意したくなりますが、その作り分けこそが一番時間を食う作業です。Claude公式のユースケース紹介に、教科書の1見開きから、スライドと読解レベル別のプリント3種を一度に生成する方法が載っていたので、整理します。
何ができるのか
Opus 4.7は、撮影またはスキャンしたページを細部まで読み取れます。小さな文字、図のラベル、キャプションまで拾えるので、見開き全体をそのまま渡しても、欲しい箇所を切り抜く必要がありません。そして指示した通りに、複数バージョンの資料を仕上げて返してくれます。
この「1つのソース → 対象者別の複数バージョン」という型は、教育に限りません。読解レベル3段階の授業教材のほか、経験レベル別の研修資料、役割別のオンボーディングガイド、読者層別の顧客向けドキュメントにも同じ方法が使えます。また、Opus 4.7はドキュメントやスライドの生成物を自分でレビューする力が強化されているため、初回の出力から完成度の高いファイルが返ってきやすいのもポイントです。
実際のプロンプト例
紹介例では、プレートテクトニクスの教科書見開き1枚を、1コマの授業用教材一式に変換しています。添付するのは3ファイルです。
tectonics-textbook-p214-215.jpg(図と囲み記事を含むソース見開き)
state-standards-ess2.txt(対応させるべき学習指導基準)
my-class-roster-levels.csv(生徒の読解レベル。A=学年未満、B=学年相当、C=学年以上)
この教科書見開きから、次を作って:
コアの概念をカバーするスライド(8〜10枚)。図はシンプルに描き直して1枚の独立スライドに
1ページの読解プリントを3バージョン(レベルA・B・C)。概念は同じで、語彙と文の長さを変える
基準の到達度を確認する退出チケット(3問)。問題は全員共通
すべてのバージョンを同じ概念・同じ基準に揃えて。レベルAで簡略化した語彙をリストにして。
セットアップのポイント
必須の材料は3つ——ページの写真・スキャン・PDF、対応させる基準や学習目標、そして「各バージョンのルール」(何種類作るか、何を変えるか、何を変えないか)をプロンプトに書くこと。
モデルピッカーはOpus 4.7に設定します。ファイル作成機能を使えば、スライドとプリントは実際の .pptx / .docx ファイルとして返ってきます。
あると良い材料として、読解レベルのグループ分けが入った名簿(プリントにグループ名を付けられる)、基準とバージョンルールをプロジェクト指示に書いたclaude.aiのプロジェクト(すべての授業に引き継がれる)、好みのフォーマットの過去プリント例、が挙げられています。
返ってくるアウトプット
Claudeは図や囲み記事まで含めてページを読み、指示通りの教材を組み立てます。紹介例の出力はこんな具合です。
成果物:9枚のスライド(pptx)、レベルA・B・Cの読解プリント(それぞれ独立したdocx)、退出チケット(docx)——すべて指定基準(ESS2-1、ESS2-2)にマッピング済み
内容の統一:3プリントとも「プレート境界の3タイプ/プレートを動かす力/地表への2つの結果(山脈・海溝)」をカバー。マントル対流の囲み記事はレベルCのみに追加し、AとBでは省略
語彙の簡略化リスト:リソスフェア→「地球の外側の殻」、アセノスフェア→「その下の柔らかい層」、沈み込み→「一方のプレートがもう一方の下に滑り込む」。レベルAの文は15語以内に統一
除外の報告:教科書の「地質学のキャリア」コラムは、指定基準の対象外なので全バージョンから除外
図の扱い:スライド4の図は3つの境界タイプをラベル付きで簡略化して描き直し。元の小さな挿入地図は、鮮明に再現できなかったため不採用と明記
注目すべきは、「何を簡略化し、何を載せなかったか」をClaude自身が報告してくる点です。教材の中身と一緒に、判断の記録が付いてきます。
フォローアップで広げる3つの使い方
① 4つ目のバージョンを1行で追加。各バージョンのルールはすでに伝えてあるので、追加は簡単です。例:「レベルA-EL版を追加して。レベルAと同じ内容で、重要5語の英語・スペイン語対訳の用語ボックスを付け、問3を図のラベル付け問題に差し替えて」。
② スライドの構成を組み替える。「地表への結果(山脈・海溝・地震)から始めて、境界タイプを2番目に。9枚のまま」のように依頼すれば、別の切り口でデッキを再構築。再構築でもファイル出力は完全な形で返ってきます。
③ Coworkで繰り返せる形にする。claude.aiのチャットでは、会話のたびにページをアップロードしてルールを言い直す必要があります。Coworkのプロジェクトなら、ClaudeがPC上のフォルダを直接読み、ルールはプロジェクト指示に常駐。単元のフォルダを指定して基準とバージョンルールを一度書いておけば、フォルダ内のどのページも、短いプロンプト1つで教材一式に変わります。
うまく使うためのコツ
モデルを仕事に合わせる。緻密な読み取りと完成ファイルが必要なタスクにはOpus。日常のドラフトや授業アイデアの壁打ちにはSonnet。素早い回答や簡単な書き換えにはHaiku。今回は「密度の高いページ画像を入力に、ドキュメント一式を出力する」タスクなので、Opus 4.7が適役です。
複数の授業ぶんはCoworkプロジェクトで。claude.aiでは1回に1ページの添付ですが、Coworkならフォルダ全体を読めます。基準とルールをプロジェクト指示に置き、単元のソースページをフォルダに入れれば、同じプロンプトが全ページに効きます。
変更点のリストを一緒に出させる。Claudeに書き換え・簡略化・翻案をさせるときは、「何を変えて何を省いたかをリストで」と一行加えましょう。レビューすべきはそのリストです。すべての出力を原本と突き合わせる代わりに、Claudeが下した判断だけを確認すればよくなります。
まとめ
このユースケースの本質は、「全員に同じものを配る」か「作り分けに疲弊する」かの二択だった教材づくりに、第三の選択肢を用意したことです。概念と基準は全バージョンで揃え、語彙と文の長さだけを対象者に合わせる——そしてその調整内容はリストで報告される。教育現場だけでなく、レベル別の研修資料や読者層別のドキュメントを抱えるビジネスの現場でも、そのまま使える型だと思います。
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