業務改善の「要件定義」をClaudeと作る:ワークフロー改善プランナーという使い方
「この業務、AIでなんとかしたい」と思っても、いきなり「改善して」と頼んでうまくいくことは稀です。現状のフロー、ボトルネック、制約——改善の設計に必要な情報を、まず自分が整理できていないからです。Claude公式のユースケース集に、この問題を面白い方法で解く例が載っていました。Claudeに「自分にインタビューするツール」を作らせて、その回答を持ってClaudeに解決策を設計させる、という二段構えです。カテゴリは非営利向けですが、業務改善を考えるすべての組織に効く型です。
仕組み:ClaudeがClaudeへのブリーフィングを手伝う
流れはこうです。①Claudeに、業務改善の文脈を漏れなく捕捉する記入式のプランニングテンプレート(アーティファクト)を作らせる → ②自分でそれに記入する → ③完成したテンプレートが、解決策の設計に必要な情報が詰まったプロンプトを自動生成 → ④それをClaudeに渡して、実践的な解決策を設計させる。
つまり、要件定義のヒアリングシートづくりからClaudeに任せるわけです。使用モデルはSonnet 4.5、拡張思考を推奨。
実際のプロンプト例
非営利団体でのワークフロー改善の機会を定義するのを手伝ってほしい。改善したいプロセスについて、重要なコンテキストをすべて捕捉できるよう、私に質問してくれる詳細なアーティファクトを作って。
次を考え抜けるものにして:
現在のワークフローはどうなっているか
ペインポイントとボトルネックはどこか
インプットとアウトプットは何か
成功とはどんな状態か
どんな制約の中で動いているか
記入し終えたら、解決策の設計に必要な情報をすべて含んだファイルとしてClaudeに渡せるくらい包括的に。最後に、完成したテンプレートをClaudeとどう使うかの明確な手順も入れて。記入しやすい、よくデザインされたアーティファクトとして——明確なセクション、穴埋め欄、抜け漏れを防ぐ補助的な問いかけ付きで。
あわせて、対象業務の資料(例では「月次ドナーレポートの手順書」「ボランティア受付フォーム」のPDF)をアップロードしておくと、汎用テンプレートではなく実態に即した問いが出てきます。
返ってくるアウトプット:記入式の「業務改善アセスメントツール」
紹介例で生成されたのは、単なる文書ではなくマルチステップのフォームアプリでした。
10セクション構成:対象の特定、現状、課題、インプット/アウトプット、制約、技術的詳細、意思決定ポイント、指標、補足コンテキスト、最終レビュー
進捗バーとパーセンテージ表示
スマートなフォーム:チェックを入れると追加のテキスト欄が現れる条件付き入力
セクション間を行き来できるナビゲーション
そして肝心のエクスポート機能——記入内容すべてを整形済みのプロンプトにまとめ、コピーまたはダウンロードできる
最後のセクションが「Claudeへの依頼文」を吐き出すので、そのまま次の会話に貼れば、解決策の設計フェーズが始まります。
フォローアップの3段階
① 解決策の提案をもらう:「テンプレートに記入しました。回答をレビューして教えて:(1)私が挙げた課題にClaudeは具体的にどう対処できるか (2)どのClaude機能が最も価値があるか(拡張思考、ファイル作成、MCP接続) (3)実装できる実践的なステップバイステップのワークフロー (4)必要になるテンプレートや例」
② 実装マテリアルを作らせる:「定義したワークフロー改善に基づいて、実装に必要な具体物を作って:使うプロンプト例、持っておくべきテンプレートファイル、設定すべきMCP接続、従えるセットアップガイド」
③ 現実の制約に合わせて調整する:「提案は素晴らしいけど、うちの現実に合わせたい。使えるのは無料ツールだけ、技術に詳しいスタッフはいない、AI経験の浅いメンバーでも回せる必要がある。簡略化して、もっと取っつきやすくして」
うまく使うための5つのコツ
① 頻度とボリュームを具体的に。「月次レポート」ではなく「15ページのドナーレポート、毎月5日まで、開発ディレクターが約8時間、3つのスプレッドシートからデータ集約」。この具体性が、規模に合った解決策を生みます。
② サンプルを添える。匿名化したレポート例、今使っているテンプレート、サンプルデータ——実物から設計するほうが、Claudeの解決策は良くなります。
③ 問題を自己検閲しない。「時間がかかる」では役に立ちません。「Salesforceから200件のドナー記録をExcelに手作業でコピーし、1件ずつ整形し直している」なら、Claudeが狙うべき非効率が特定できます。ペインポイントに正直なほど、解決策は鋭くなります。
④ 時短以外の価値も書く。品質が落ちる場所(手入力でエラーが混入する)、知識が閉じ込められている場所(Sarahしかやり方を知らない)、スケールが破綻する場所(50件なら回るが100件で崩壊)、ストレスが集中する場所(理事会前はいつも修羅場)——これらの洞察が、より良い解決策につながります。
⑤ データソースを先に接続しておく。対象業務がGoogle Drive、Gmail、カレンダーに関わるなら、解決策を設計する前にMCP接続を有効化。手動のファイルエクスポートを前提にしない、システム直結のワークフローを設計してもらえます。
まとめ
このユースケースの本質は、業務改善プロジェクトの最初の難所——「現状と要件をちゃんと言語化する」工程そのものをツール化したことです。ヒアリングシートの設計をClaudeが担い、記入結果が次のプロンプトになる。実はこれ、私たちのような導入支援の仕事で行うヒアリングと同じ構造で、それを誰でもセルフサービスで回せる形にしたものと言えます。改善したい業務がぼんやりある人ほど、まず「私に質問するツールを作って」から始めてみてください。
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この記事は、AtlassianやIntercomなどのSaaS導入支援と、AIを活用した業務プロセス改善を行うINNOOV株式会社がお届けしました。「自社でもこんな仕組みを作ってみたい」「ツール導入を相談したい」という方は、お気軽にお問い合わせください。