生成AIが数年前から企業に導入されはじめかなり浸透している企業も出てきました。
AIの活用方法について大きく2つの方向があると思っています。
一つは 新たな価値や概念を創出するための活用、
もう一つは 企業のバリューチェーン/バリューストリームにおけるプロセス品質を高めるための活用 です。
① 加速装置としての活用:新しい価値・概念を生み出すための活用
この領域では、自社で設計したプロンプトのみならず、海外の高度なリサーチツールや有償の企画支援プロンプトの活用も有効だと考えています。
ただし、その際には情報源の信頼性や、背景にあるコンセプトの妥当性を適切に評価できる力が求められます。
私自身、過去に大規模な業務改革プロジェクトに携わった中で、コンセプトが優れていても、それを支えるプラットフォームがなければ運用は困難になるという課題を実感しました。
また、ゲームメーカーにてアーケードゲームのプロトタイピング支援を行った経験からも、創造的な探索活動には、ボードゲームや子どもの遊びなどに見られるような広範な知識が必要不可欠であると学びました。
このように、AIを使って新しいものを生み出す際には、再現性のある探索を可能にする知見や教養の深さが、人間側に求められると感じています。
② 安定化装置としての活用:バリューチェーン/バリューストリームにおけるプロセス品質向上のための活用
こちらの領域においては、AtlassianのAI「Rovo」が非常に有効と考えます。
業務プロセスの中でAIが自然に支援機能を果たすためには、日常的に作成される企画書、設計書、議事録などのドキュメントの質と整備状況が重要な前提となります。
AIを組織のプロセスに統合するには、AIを“特別なもの”として扱うのではなく、既存業務の自然な一部として組み込む設計が理想です。
このような形で導入されることで、部門を超えた全社的なAI活用が実現しやすくなると考えています。
AI活用に必要な二つの要素
いずれの方向性においても、AIを単なるツールとして使うのではなく、「人間の知見」と「データ環境」という両輪が揃って初めて、本質的な価値が生まれると考えます。
また、AIを「加速させる」あるいは「安定させる」ためのツールと捉えたときに重要なのは、何を加速させるのか、何を安定させたいのか、という対象の明確化です。
AIはその判断を補助する強力なパートナーとなり得ますが、起点となる人間の意図設計が不可欠です。