ChatGPTのような個人で利用可能なAIツールは、Excelのように誰でも手軽に使えるツールとして急速に普及しています。ただし、AIを正しく活用するためには、各自がプロンプトスキルを向上させる必要があります。このようなツールの普及に伴い、Excel同様、ユーザー間で能力差が顕著になりつつあります。
今後、企業がAIを効果的に活用するためには、個人のスキルに依存するだけでなく、AIを業務プロセスに組み込む仕組みづくりが重要になります。以下では、エンドユーザー型AIとプロセス組み込み型AIの運用上の違いや課題について整理しています。
1. EUC型(エンドユーザ型)AIの課題
属人化の問題
活用が個人のスキルや意欲に依存しやすい。
プロンプト作成や操作技術の習得が個人任せとなり、スキル格差が生まれる。
開発されたノウハウやツールが特定個人に紐づき、組織全体での共有や活用が困難。
運用上の制約
業務改善が部分最適化にとどまり、全体最適化につながりにくい。
ツールの利用が現場レベルで固定化し、柔軟な改善やプロセス変更の妨げになる可能性。
データの整合性や信頼性に問題が発生しやすい。
管理上のリスク
個別管理となり、セキュリティや運用の統制が難しい。
シャドーITの問題が発生し、組織全体のITガバナンスを乱すリスク。
更新や保守が個人に依存するため、長期的な継続性が課題。
2. プロセス型AIのメリット
組織的な活用
業務プロセスに組み込まれることで、関係者全員がAIを自然に活用可能。
プロセス全体の最適化が実現し、組織全体での効果を引き出せる。
既存システムとの統合が進み、業務全体の効率化が促進される。
効果測定とフィードバック
AI活用の効果測定が容易で、具体的な指標で成果を可視化可能。
リアルタイムで意思決定支援や業務効率向上が期待される。
組織的なフィードバックが可能で、AIの継続的な改善サイクルを構築しやすい。
管理の効率性
組織的な管理体制下で運用され、セキュリティリスクを軽減。
システム全体の一部として保守・運用されるため、安定性が高い。
定期的なアップデートや改善が計画的に実施可能。
3. 運用管理の違い
観点 | EUC型AI | プロセス型AI |
活用範囲 | 個人依存で活用が部分的 | プロセス全体に組み込まれ、全体最適化が可能 |
運用負担 | 個人が自己管理、属人化しやすい | 組織的な管理体制で効率的に運用可能 |
改善と更新 | フィードバックが個別的で改善サイクルが遅い | 効果測定が容易で組織的改善が促進される |
セキュリティ | シャドーITやデータ統制の課題が発生しやすい | ガバナンスが効き、セキュリティリスクが軽減 |
4. 今後は徐々にAIをプロセスに組み込む必要がある
AI技術の進化により、EUC型AIとプロセス型AIの利点を組み合わせた統合的なアプローチが期待されます。たとえば、プロセス型AIを基盤に、業務の効率化を図る一方、個人の創造性や柔軟な発想を引き出すためにEUC型AIを活用する仕組みづくりが重要です。
これにより、全体最適化と部分的な創造性の両立が可能となり、より高い組織パフォーマンスが実現すると考えられます。