基礎用語への認識を高めることの重要性
『評論・小説を読むための 新現代文単語 改訂版』は、大学入試の現代文読解に必要な評論的キーワードや小説で頻出する語彙表現を集めた一冊です。
息子の通う中学校では、中学1年生の段階から大学入試に対応した教材としてこの本を授業に取り入れています。実際にパラパラと内容を見てみると、1つひとつの言葉の意味を正確に捉える力を養うことを通じて、将来の論述問題や読解問題に対応しようとしていることがよくわかります。
例えば以下のような語彙が登場します。
📖 小説編に出てくる語彙(表現・感情・状況)
カテゴリ | 例語彙 | 意味・用途 |
感情 | うしろめたい・やるせない・もどかしい | 微妙な人物の心理描写に使われる |
描写 | 薄明かり・こだまする・佇む | 雰囲気や風景を描写する際に用いられる |
人物関係 | 偏見・距離感・隔たり | 人間関係の機微や対人心理を表現 |
🧠 評論編に出てくる語彙(テーマ別)
分類 | 例語彙 | 解説 |
自我・他者 | 自己同一性・アイデンティティ・相対化 | 自分と他者の関係をどう捉えるか |
メディア・情報 | フィルターバブル・匿名性・情報化社会 | 情報環境と社会のつながりを理解する語彙 |
科学技術 | シンギュラリティ・生命倫理・AI | 技術発展と倫理的課題に関する語彙 |
文化・価値観 | 多文化主義・グローバリズム・文化相対主義 | 国際社会や異文化理解に欠かせない視点 |
これらの語彙を中学生のうちから正確に理解しておくことで、高校に入ってからは「読解の基礎」が完成された状態で受験対策を進めることができます。つまり、早い段階で語彙力と論理的思考の土台を築いておくことが、大学入試において大きなアドバンテージとなります。
まずは基礎を早期につくるということが受験勉強でも重要となります。
大企業の改善活動で用語集を作っていた
この「用語を正しく理解し、共通認識を持つ」という考え方は、実は企業活動においても非常に重要です。
私が以前勤務していたメーカーでは、「改善活動」の一環として用語の統一が推進されていました。大きな会社になると、マニュアルや部署ごとに微妙に異なる用語が使われることがあります。例えば、エンジニアと営業で部品名の呼び方が違うために、製品トラブルの報告で認識のズレが起きてしまうこともありました。
目的に向かって組織全体が動くためには、用語の意味を共通に理解していることが非常に大事です。つまり「同じ言葉を使い、同じ意味で捉える」ことが、結果として活動の品質や意思疎通の効率を大きく左右します。
最近では、Atlassianが提供するROVOのKnowledge Cardsのように、社内で使われる専門用語を一元管理し、メンバーがすぐに参照できる仕組みが整いつつあります。
勉強でも仕事でも、キーワードを正しく理解することが、最終的には成果や品質に直結する。
そんなあたりまえのようで見落とされがちな「一つ一つの言葉の力」を、改めて大切にする必要があると思います。