以下は、Atlassian が 2025年9月3日に公開した記事「Atlassian Research: What Do Developers Think About Code Readability in the Age of LLMs?」(「LLMの時代におけるコード可読性について開発者はどう考えているか」)の要点まとめです (Atlassian)。
要点サマリ
1. 背景と目的
文脈:LLM(大規模言語モデル)やエージェント駆動型AI(例:RovoDev CLI や Coding Agent)の導入が進む今、AIがコードを書くことが増える中で「コード可読性(readability)」は依然として重要か、という問いが浮かんでいます (Atlassian)。
ツール紹介:RovoDev Coding Agent は開発者と協調して動作し、Jira に統合された形で以下のような流れを実現します:
コンテキストの設定(Jira issue やコードリポジトリの選択)
プランの草案作成(開発者が修正可能)
コーディング(ツールや人によるレビューを経て)
Pull Request の作成とレビュー (Atlassian)。
2. 調査(Survey)の結果
3. 実証データ:LLM vs 人間によるコードの可読性比較
対象:144件の real-world Jira タスク、合計250ファイル、6言語(Java, Kotlin, Go, Scala, TypeScript, Python)におけるコード比較 (Atlassian)。
評価指標:
ソース行数(Lines of Code)、コメント比率(Comment Ratio)、サイクロマティック複雑度(Cyclomatic Complexity)、メンテナビリティ指標(Maintainability Index)、Halstead メトリクス(Difficulty, Vocabulary, Volume, Time Required)を使用 (Atlassian)。
結果概要:
多くの言語(Java, Kotlin, Go, Scala)では「可読性に差なし(negligible difference)」。
TypeScript や Python では若干、コードが長く・保守性が若干劣る傾向があるものの、影響は小さい。
複雑度やコメント品質にも有意な違いは見られず (Atlassian)。
4. まとめと示唆
可読性の重要性は不変:LLM の台頭によっても“Readable code”(読みやすいコード)の価値が薄れることはありません。
LLMによるコードにも信頼感がある:多くのメトリクスで人間と LLM の生成コードに差がほとんどなく、開発チームの信頼構築に寄与。
課題と機会:
「時間がない」ことが最大の障壁。
LLM を活用して可読性を高める余地は大きく、多くの開発者が歓迎。
LLMの限界と人的介在の大切さ:時に冗長だったり一貫性が欠けるコードを出力することもあり、レビューや監督は依然として重要な役割を果たします (Atlassian)。
まとめ
Atlassian の最新研究は、LLMやエージェントAIがコード生成に関与する時代でも「コード可読性は不可欠であり続ける」ことを実証しています。調査と実証データの両面から、「LLMによって生成されたコードは、多くの場合、熟練エンジニアによる手書きコードと同等の可読性を備えている」との知見が得られました。