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LLM時代でも変わらぬコード可読性の重要性

Atlassianの調査によると、開発者の81%がLLM時代でもコード可読性は重要と回答。LLM生成コードは多くの指標で人間のコードと同等の可読性を持ち、時間不足が最大の課題となっている。

一週間前以上前にアップデートされました

以下は、Atlassian が 2025年9月3日に公開した記事「Atlassian Research: What Do Developers Think About Code Readability in the Age of LLMs?」(「LLMの時代におけるコード可読性について開発者はどう考えているか」)の要点まとめです (Atlassian)。

要点サマリ

1. 背景と目的

  • 文脈:LLM(大規模言語モデル)やエージェント駆動型AI(例:RovoDev CLI や Coding Agent)の導入が進む今、AIがコードを書くことが増える中で「コード可読性(readability)」は依然として重要か、という問いが浮かんでいます (Atlassian)。

  • ツール紹介:RovoDev Coding Agent は開発者と協調して動作し、Jira に統合された形で以下のような流れを実現します:

    1. コンテキストの設定(Jira issue やコードリポジトリの選択)

    2. プランの草案作成(開発者が修正可能)

    3. コーディング(ツールや人によるレビューを経て)

    4. Pull Request の作成とレビュー (Atlassian)。

2. 調査(Survey)の結果

  • 対象:118名の開発者(Atlassian 内外)を対象に実施 (Atlassian)。

  • 主な知見

    • 81%が「LLM時代でもコード可読性は重要」と回答。

    • 可読性向上の主な意図は「長期的なメンテナンスコストの削減」。

    • 最大の課題として「時間的制約」が挙げられる。

    • 72%が「LLMを使った可読性改善に前向き」と回答。

    • 回答者の中では、39%が「LLM生成コードの方が可読」とし、34%は「人間の書いたコードと同等」と評価 (Atlassian)。

3. 実証データ:LLM vs 人間によるコードの可読性比較

  • 対象:144件の real-world Jira タスク、合計250ファイル、6言語(Java, Kotlin, Go, Scala, TypeScript, Python)におけるコード比較 (Atlassian)。

  • 評価指標

    • ソース行数(Lines of Code)、コメント比率(Comment Ratio)、サイクロマティック複雑度(Cyclomatic Complexity)、メンテナビリティ指標(Maintainability Index)、Halstead メトリクス(Difficulty, Vocabulary, Volume, Time Required)を使用 (Atlassian)。

  • 結果概要

    • 多くの言語(Java, Kotlin, Go, Scala)では「可読性に差なし(negligible difference)」。

    • TypeScript や Python では若干、コードが長く・保守性が若干劣る傾向があるものの、影響は小さい。

    • 複雑度やコメント品質にも有意な違いは見られず (Atlassian)。

4. まとめと示唆

  • 可読性の重要性は不変:LLM の台頭によっても“Readable code”(読みやすいコード)の価値が薄れることはありません。

  • LLMによるコードにも信頼感がある:多くのメトリクスで人間と LLM の生成コードに差がほとんどなく、開発チームの信頼構築に寄与。

  • 課題と機会

    • 「時間がない」ことが最大の障壁。

    • LLM を活用して可読性を高める余地は大きく、多くの開発者が歓迎。

  • LLMの限界と人的介在の大切さ:時に冗長だったり一貫性が欠けるコードを出力することもあり、レビューや監督は依然として重要な役割を果たします (Atlassian)。

まとめ

Atlassian の最新研究は、LLMやエージェントAIがコード生成に関与する時代でも「コード可読性は不可欠であり続ける」ことを実証しています。調査と実証データの両面から、「LLMによって生成されたコードは、多くの場合、熟練エンジニアによる手書きコードと同等の可読性を備えている」との知見が得られました。

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