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RAGは7種類ある。その差は「構造データ」で決まる

RAGは7種類に進化していますが、競争の本質はLLM性能ではなく構造化データの深さにあります。JiraやCMDBのように業務が構造化された基盤を持つ企業はGraph RAGに強みを持つ。一方、フォーマットの弱い自由文中心のサービスは検索強化に留まります。今後の鍵は構造×履歴×Agentの融合に向かいます。

2週間以上前に更新

RAG(Retrieval-Augmented Generation)は単なる検索拡張ではなく、設計パターンによって性能も用途も大きく変わります。

現在整理されている主要なRAGパターンは7種類です。

RAGの7つの設計パターン

  1. Advanced RAG

    1. 基本の拡張(ハイブリッド検索 + リランク)

    2. 検索精度の向上

  2. RAG Fusion

    1. 多角的視点(マルチクエリ)

    2. 質問の曖昧さの解消

  3. HyDE

    1. 逆転の発想(回答から検索)

    2. クエリとドキュメントのベクトル不一致

  4. Router / Adaptive RAG

    1. 最適経路の選択

    2. 不要な検索コストの削減

  5. GraphRAG

    1. 関係性の理解(ナレッジグラフ)

    2. 網羅的な要約や複雑な関係性の抽出

  6. Self-RAG / CRAG

    1. 自己省察(検索結果の評価・修正)

    2. ハルシネーション(嘘)の低減

  7. Agentic RAG

    1. 自律エージェント(ツールの使用)

    2. 複数ステップを要する複雑なタスク

進化の流れは、

検索補助
→ 再ランキング
→ 構造理解(Graph)
→ ハイブリッド化
→ エージェント化
→ 自律協調

へと進んでいます。

本質的な差は「構造データ」にある

RAGの高度化を左右する最大の要因はLLMではありません。
どれだけ業務データが構造化されているか にかかります。

AtlassianではTeamworkgraphというgraphのフレームワークがあります。

このフレームワークは、Atlassian製品だけでなく、接続する各社製品の情報をマッピングすることでデータを構造化しています。

構造データが強いケース

  • チケット形式(Jira、ServiceNow)

  • ステータス管理

  • 依存関係リンク

  • 親子構造

  • 構成管理(CMDB)

  • 状態遷移ログ

→ 自然に業務グラフが形成される
→ Graph RAGが成立する

構造が弱いケース

  • 自由記述中心

  • 任意タグ

  • 単純リンク

→ 検索は強化できるが、因果推論は弱い

Graph RAGの強さは、AIの性能ではなく「データモデル設計」に依存します。

各社比較(構造データ × RAG適性)

汎用的な業務用途でのRAGの能力

項目

Atlassian

Microsoft

ServiceNow

Notion

Google Gemini

Google NotebookLM

主用途

開発・プロダクト

企業横断

IT運用

個人/SMB

横断AI

資料理解

構造データ

◎ 業務グラフ

○ 組織中心

◎ IT構成

△ 疑似

× なし

Graph RAG適性

◎ 非常に強い

○ 中程度

◎ IT特化

△ 限定的

×

Agent実行

○ 発展中

×

強み

構造×履歴×開発

統合基盤

IT影響分析

UX

マルチモーダル

出典付き理解

弱み

汎用知識

構造密度

開発領域

統制

業務構造浅い

業務統合なし

各社の強み

Atlassian

  • Jiraの課題リンク

  • Confluence階層

  • Assets / Compass依存関係

  • 詳細な履歴データ

→ 開発・プロダクト構造グラフが非常に濃い
→ Graph RAGとの相性が高い 強みは「構造×履歴」

Atlassian Teamwork Graph

ServiceNow

  • CMDBによる構成管理

  • インシデントと変更管理の連動

  • 影響範囲分析

→ IT運用領域では最強クラスのGraph RAG

Microsoft

  • M365横断データ

  • CopilotによるHybrid RAG

  • Router型設計

→ 横断性は強いが、業務構造の密度は限定的。

Google Gemini

  • Web検索統合

  • マルチモーダル

  • Router設計

→ 汎用理解は強いが、業務グラフは浅い。

Google NotebookLM

  • アップロード資料限定RAG

  • 出典明示

  • 要約特化

→ 業務構造AIではなく「資料理解AI」。

サマリ

RAGの進化は7段階に整理できますが、実際の競争軸はどれだけ構造化された業務データを持っているかに向かっています。

  • 構造が濃い → Graph RAGが強い

  • 履歴が詳細 → 予測やAgent化が可能

  • 自由文中心 → 検索止まり

AIのトレンドはGraph × Agent × Time(履歴)に進んでいます。

実際、Atlassianはここ1年で製品のRovo Agentの強化・Audit logの機能向上が進んでいます。

RAGは単純な検索技術ではなく業務構造の可視化技術 に進化しています。

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