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Cowork × Claude for Excelの保険アクチュアリー活用

Cowork → Claude for Excel → Claude for Wordの連携で、保険会社の準備金評価を回すユースケース。Coworkが準備金ワークブックを読みNAICコネクタで過去提出書類や州通達を取得、進展係数の異常や数式の参照ズレにフラグを立てる。核心は、指摘を「直すべきバグ(ハードコード・リンク切れ)」と「説明すべき現実の変動(クレーム上振れ)」に仕分ける点。前者はExcelで修正、後者は提出書類に書くという判断の下ごしらえを担う。原則は「検証と異常検知はClaude、承認はあなた」

準備金の検証から当局提出書類のドラフトまで:Cowork × Claude for Excelの保険アクチュアリー活用

評価基準日は先週の金曜。手元にはロス・トライアングルが5タブ並ぶ準備金ワークブック、別ウィンドウには前年の提出メモ、選任アクチュアリーからはIBNR(既発生未報告損害)の変動について質問が来ていて、州当局への提出期限は2週間後——保険会社の準備金評価の現場を、Cowork → Claude for Excel → Claude for Wordの連携で回すユースケースがClaude公式に載っていたので、整理します。前回紹介した融資審査(与信稟議)のワークフローと同じ型の、保険数理版です。

ワークフローの全体像

Coworkが評価フォルダから準備金ワークブックを読み込み、NAIC(全米保険監督官協会)コネクタ経由で過去の提出書類と最新の州通達を取得します。そのうえで、損害進展係数(LDF)のどこが過去と比べて不自然か、どの数式が誤ったロールフォワード列を参照しているかを指摘。そのフラグを持ってClaude for Excelでワークブックを修正し、Claude for Wordで提出メモを開きます。Excel→Wordで会話が引き継がれるので、ナラティブを書く時点でClaudeはどの準備金セグメントがなぜ動いたかを知っています。

原則も前回と同じ構図です——「数式の検証と異常検知はClaude、準備金の承認はあなた」

実際のプロンプト例

自動車保険(対人賠償)のQ1準備金レビュー——来週に選任アクチュアリーのレビュー、2週間後に提出。数字を確定する前に、ワークブックの全体を説明して。

ステップ:

  • 評価フォルダの準備金ワークブックを読み、数式を検証

  • NAICからFY24の提出書類と新しい通達を取得

  • 過去と比べて不自然な進展係数とテール前提にフラグ

  • Excelに持ち込めるブリーフを——シート参照付きで、「壊れているもの」と「説明すべき変動」を分けて

何かを変更する前に、まずフラグを見せて。

必要なセットアップ

必須は、①準備金ワークブックを含む評価フォルダの添付、②NAICコネクタの有効化、③Claude for ExcelとClaude for Wordのアドイン。モデルはSonnet 4.6です。

Claudeは標準的な準備金検証ループ——数式監査、トライアングルとロールフォワード間のリンクチェック、進展係数の異常検知、提出ナラティブのドラフト——を実行できます。感応度分析の別表が必要なら、Financial Analysisプラグインがシナリオ分析とストレステストのスキルを追加します。

返ってくるアウトプット:「壊れた数式」と「説明すべき変動」を分ける

このユースケースの一番の見どころは、Claudeが問題を2種類に仕分けてくることです。

まず準備金ウォーク(前四半期比)。最終損害額$487.2M(+$6.4M)、個別備金$142.1M(-$3.2M)、IBNR $89.6M(+$9.6M)、既払額$255.5M(+$11.2M、想定線)——と全体像を提示。

そのうえで修正すべき数式の問題3件が、セル参照と影響額付きで示されます。

  1. Triangles!K47:2022事故年度の24-36ヶ月リンク比率が0.987でハードコードされている。K列の他のセルはすべてMethodology!B14のLDFテーブルを参照しており、おそらく一度きりの上書きが戻し忘れられたもの。テーブル由来の値は1.024で、0.987のままだと当該事故年度のIBNRが約$2.1M過小評価になる

  2. Roll-forward!E22:2023事故年度のQ1既払額が、2022事故年度の列を参照。$890Kのズレ。行の他のセルは正しく、この1セルだけがドリフト

  3. BF Method!D38:入力タブの120ヶ月テールファクターは1.015に更新済みなのに、BF法(ボーンヒュッター・ファーガソン法)の計算は旧値1.012のまま。前四半期にテールタブを作り直した際、3箇所の参照がリンクされ損ねた

一方で、「ナラティブで説明すべき実際の変動」は別枠です。IBNRの+$9.6M(+12%)は、2024事故年度のクレーム件数がQ1に想定比8%上振れしたことと、LDF更新で12-24ヶ月リンク比率が約50bp上がったことが原因——これは数式の問題ではなく実際の動きなので、修正ではなく提出書類での説明が必要、と明確に区別されます。

ブリーフの最後には、Claude for Excelのサイドバーに貼る指示文(3つの修正を1つずつ確認し、修正後の数字を見せ、準備金ウォークを再計算してクリーンな最終損害額を出す)が付き、ワークブック確定後はWordで「準備金十分性セクションと手法変更の開示をドラフトして」と言うだけで書き始められます。

フォローアップの3例

  • 進展係数を業界と突き合わせる(Cowork):「私の12-24と24-36のリンク比率は、NAICが前四半期に公表した対人賠償の業界ベンチマークと整合している?」

  • テールの感応度分析(Claude for Excel):「テール感応度を再構築して。テールファクター1.010 / 1.015 / 1.020 / 1.025での最終損害額を、他の条件は固定で」

  • 手法変更の開示文をドラフト(Claude for Word):「提出書類の手法変更セクションを。テールファクターの更新と、LDF選択ウィンドウへの事故年度1年追加。ASOP 36(アクチュアリー実務基準)に準拠する形で

うまく使うためのコツ

前回の与信稟議のユースケースと共通の4点です。

①Coworkの最後にExcel用の1段落ブリーフを頼む(シート参照と数式フラグ入り)。

②シート参照はクリックして飛ぶ——Triangles!K47をクリックすればExcelがそのセルにジャンプするので、変更に同意する前に数式と周囲のパターンを自分の目で確認。

③Excel→Wordの引き継ぎを活かす——準備金ウォークを説明し直す必要はない。

④スキルとして保存——四半期の準備金レビューは毎回同じループなので、1セグメントで会話が固まったらスキル化すれば、翌四半期は全保険種目にワンクリックで展開できます。

まとめ

このユースケースの核心は、Claudeが指摘事項を「直すべきバグ(ハードコード、参照ズレ、リンク切れ)」と「説明すべき現実の変動(クレームの上振れ)」に仕分けてくれることです。前者はExcelで修正し、後者は提出書類のナラティブに書く——この仕分けこそ、アクチュアリーが最も神経を使う判断の下ごしらえです。保険業界特有の内容ではありますが、「巨大なExcelの数式を検証し、結果を規制当局向け文書に落とす」という構図は、経理・財務・コンプライアンス部門の多くの業務に通じるはずです。


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