「ここはセンスのいい会社だ」と思わせる初週ガイド:Claudeで新入社員オンボーディング資料を作る
新入社員の受け入れ資料は、毎回ほとんど同じ部品の組み合わせでできています。会社のハンドブック、オフィスの案内、初週のスケジュール、チーム紹介、アカウント発行の一覧。それでも毎回ゼロから組み立て直すことになり、しかも出来上がるのはどこかで見たようなHR文書です。
Claude Academyのユースケース「Create new hire onboarding guides(新入社員オンボーディングガイドを作る)」は、この作業を15分に置き換えます。カテゴリは人事、使うのは Claude.ai です。Academyの6ステップ構成で読み解いていきます。
ステップ1:タスクを記述する
原文の考え方はこうです。標準情報と個別情報を組み合わせるClaudeの能力と、新入社員が実際に必要とするものを知っている自分の知見を掛け合わせれば、同じ部品を毎回手で組み立てることなく、歓迎の気持ちが伝わる実用的なガイドが作れる。
やることは、新入社員について(名前、役職、入社日、チーム、上司)Claudeに伝え、自社の標準情報を指し示し、初週に必要なことがすべて1か所にまとまったガイドを求めるだけです。原文のプロンプト例をそのまま訳します。
Design Systemsチームのシニアプロダクトデザイナーとして今週月曜、11月4日に入社するSarah Chenのための初週ガイドを作成してください。上司はMichael Torresです。以下を含めてください:歓迎の言葉と、初週に何が起きるか / 彼女個別のオンボーディングスケジュール / オフィスの動き方 / チーム紹介 / 付与されるツールとアクセス権 / 初週によくある質問。関連情報を見つけるために、Googleカレンダーでオンボーディング関連のイベントを検索し、彼女のチームのSlackチャンネル #design-systems を確認し、私がアップロードしたすべてのドキュメントを参照してください。情報密度は高く、しかし美しく整理してください——シニアデザイナーがこれを見て「ここはセンスがいい会社だ」と思うように。汎用的なHRのフォーマットではなく、洗練されたタイポグラフィとレイアウトを使ってください。素早くスキャンできて、必要なものはすべて見つかる状態にしてください。
このプロンプトで注目したいのは最後の段落です。「情報密度は高く、しかし美しく整理して」「シニアデザイナーが見て『ここはセンスがいい会社だ』と思うように」という指定の仕方。読み手が誰で、その人にどういう印象を持ってほしいかを伝えることで、出力の質が変わるという設計になっています。デザイン指示を形容詞ではなく「読み手の反応」で与えている、と言い換えられます。
ステップ2:Claudeに文脈を与える
必要な文脈として原文が挙げているのは2つです。
Googleカレンダー連携を有効にする。 オンボーディングのカレンダーイベントを、新入社員向けのスケジュールに整形し直させるためです。予定は既にカレンダーに入っているのだから、それを情報源にするという考え方です。
会社のハンドブック、オフィス案内の文書、役職別のオンボーディング情報をアップロードする。 原文の画面例では「Company policy handbook(PDF)」と「Office logistics(DOC)」が置かれています。Google Drive の接続も案内されています。
ステップ3:Claudeが作るもの
原文には、Claudeが返してくる応答の例がそのまま載っています。出力に含まれる項目は具体的です。
役職とチームに触れた個別の歓迎メッセージ
初週の日ごとの内訳(具体的なミーティングとオリエンテーションを含む)
オフィスの要点(Lot Cでの駐車、バッジ受け取りによる建物入館、近くのランチスポット)
チーム構成(氏名、役職、各メンバーが何に取り組んでいるか)
付与されるツールとその時期(Figma、Miro、Jira、Slackチャンネル)
よくある質問への短い回答(服装はどうする? 給料日はいつ? 困ったら誰に聞く?)
用途別に整理された連絡先(ITの問題 → Jake、経費の質問 → 財務チーム)
そして原文の締めの一文が、この資料の狙いをよく表しています。この文書は、情報を与えながらも圧倒しないバランスになっている——日曜の夜に読んで、月曜の朝に自信を持って出社できる状態にする、と。
駐車場の区画名やバッジの受け取り方といった、手続きの説明としては些末で、初日の不安としては最大級の項目が並んでいるのが特徴的です。
ステップ4:フォローアップのプロンプト
原文は3つの発展形を挙げています。
複数人分をまとめて作る。 1つのテンプレートから、宛先ごとの個別版を生成します。役職・チーム・状況に合わせて内容をカスタマイズしつつ、一貫性は保ちます。
月曜に4人が入社します:Alex(エンジニアリング)、Maria(営業)、Jordan(マーケティング)、Sam(カスタマーサクセス)。Google DriveとCalendarから各人の詳細とスケジュールを見つけてください。そのうえで、一人ずつに個別の初週ガイドを作成してください——会社のロジスティクスは同じで、役職・チーム・その職種で重要になることに合わせてカスタマイズしてください。
追加要素を入れる。 画像、図、ハイパーリンクを文書に埋め込みます。アップロードと整形の両方をClaudeが処理します。
いまアップロードしたファイルを使って、「Your Team」セクションにチーム写真を、3階のオフィスマップを追加してください。また、文脈やナビゲーションに役立つハイパーリンク(オフィスの住所、関連するメールアドレス、会社のウェブサイト)も入れてください。
他の形式に変換する。 1つの原稿から、読む用・見せる用・メール用・印刷用に最適化した版を作ります。
このWord文書を、印刷用のPDF、メール用の緊急情報とアクションアイテムの箇条書き、プレゼン用のPowerPointスライドに変換してください。
ステップ5:コツとトラブルシューティング
具体的なフィードバックでデザインを反復する。 最初の版が思ったものでなければ、具体的に方向を指示します。原文が挙げる言い方はそのまま使えます。「もっと情報密度を上げて、1ページ目に無駄な余白が多すぎる」「これは汎用的すぎる、HRではなくハイエンドのクリエイティブエージェンシーが作ったように見えるものを作って」「ボックスが正しくレンダリングされていない、テーブル構造を単純化して」。タイポグラフィ、レイアウト、余白の調整も、全面的な再構成も素早くできる——デザインの反復は速い、と原文は言い切っています。
デザインを自社仕様にする。 望む見た目を言葉で説明します。クリーンでミニマルか、大胆でモダンか、洗練されて企業的か。さらに良い結果を得るには、自社のブランドガイドラインや自社サイトのスクリーンショットをアップロードすると、配色・タイポグラフィ・全体の美意識を合わせてくれます。
再利用できるテンプレートにする。 最初のガイドができたら、その構造を「New Hire Guide」プロジェクト内のテンプレートとして保存します。このプロジェクトには、会社情報を集めるためにどのツールを使うかの指示と、温かみがありつつ実用的なトーンであることを強調する指示を入れておきます。以降は新入社員ごとに個別情報を入れるだけで、テンプレートが個別化されます。
まとめ
このユースケースの本質は、オンボーディング資料を「情報の集約」ではなく「初日の不安の解消」として設計し直すところにあります。だからこそ駐車場の区画とバッジの受け取り方が主役になり、だからこそ「日曜の夜に読める」という基準が置かれています。
日本企業への応用としては、入社時の提出書類案内、社内システムのアカウント一覧、部署別の連絡先といった、いま複数のWordファイルとメール本文に散っている情報を1枚に束ねる用途が真っ先に思い浮かびます。Googleカレンダーの予定をそのままスケジュール表に変換させるという発想は、研修日程が毎回変わる会社ほど効きます。加えて、テンプレートをプロジェクトとして保存する形にしておけば、人事担当者が変わっても品質が落ちません。
最初の一歩は小さくてかまいません。次に入社する1人分について、会社ハンドブックのPDFとオフィス案内を1つのフォルダに入れ、カレンダー連携を有効にして、上のプロンプトを名前と役職だけ差し替えて走らせてみることです。
社内文書の一元管理という観点では、こうして作った初週ガイドをConfluenceのようなナレッジベースに置き、更新のたびに版を差し替えていく運用と組み合わせると、資料が個人のデスクトップに散らばらずに済みます。
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