Atlassian Rovoは、Jira、Confluence、Slack、Google Drive、Teams、SharePointなどに散在する情報をAIが文脈で理解し、必要な知識を瞬時に引き出す「社内ナレッジ探索のAIアシスタント」です。単なる検索機能にとどまらず、関連情報の要約や次に知りたいことの提案まで行うのが特長です。
中核となる「Rovo Agent」には、意思決定支援、リリースノート作成、翻訳、バグレポート、OKR生成など、業務に特化した多彩なAIエージェントが組み込まれています。これらのエージェントが日々の業務スピードを高め、チーム全体の生産性向上に貢献します。
さらに、Rovoの代表的な機能である「Knowledge Card」は、検索キーワード(人物名、チーム名、プロジェクト名、社内用語など)に基づき、関連情報をカード形式で要約表示します。
オンボーディング時の人物理解、部門間の情報共有、FAQ対応の迅速化などに活用され、たとえば人事部門やマネジメントが特定のプロジェクトについて検索すると、主要な課題やキーパーソンを含む概要が即座に把握できます。
Rovoは、情報の探索と共有を効率化し、チームがすばやく意思決定・連携するためのAIパートナーとして、今後の業務において欠かせない存在となるでしょう。
Rovo Agentとその構成エージェント
Rovo Agentは、業務ごとのタスクを支援する専用のAIアプリの集合体です。以下のように、目的別に設計されたエージェントが数多く用意されています。
RovoのAgentをそのまま利用することで多くの作業を実行してもらうことができます。
🟢 意思決定・プロジェクト管理支援
Decision Director(意思決定支援)
Product Requirements Guide(プロダクト要件整理)
Work Item Planner(作業項目の整理)
OKR Generator(OKR作成支援)
🟠 人事・運用サポート
Job Listing Assistant(求人票作成支援)
Service Helper(サポート業務支援)
Release Notes Drafter(リリースノート作成)
🔵 翻訳・可視化・進捗追跡
Global Translator(多言語翻訳)
Progress Tracker(進捗状況の可視化)
Transcript Insights Reporter(議事録の要点抽出)
🟣 コミュニケーション・レポート
Comms Crafter(社内コミュニケーション生成)
Team Recap(チーム活動の要約)
Teamwork Trivia Host(チームイベント・クイズの進行)
🟢 品質・バグ管理
Bug Report Assistant(バグ報告書の自動生成)
Issue Organizer(課題の整理)
Blocker Checker(障害要因の特定)
🟡 Jira向け支援
Jira Theme Analyzer(テーマ分析)
そして、これらすべてを統合し「使う人にとって最適な知識を届ける」役割を担っているのがRovo Agentです。
Knowledge Cardとは?
一方Knowledge Cardは、RovoのAIが提供するナレッジのスナップショットです。ユーザーが「誰が〇〇してる?」「〇〇とは?」といった曖昧な検索をしても、次のようなカードとして情報を整理・表示してくれます:
👤 ユーザーカード:人物の所属、役割、活動中のプロジェクトなどを要約
🏢 チームカード:チーム構成や取り組み中の内容を表示
📚 定義カード:社内用語や略語の意味を解説(例:「PTO とは?」)
📈 プロジェクト/目標カード:プロジェクトの状況や貢献者、関連文書などを可視化
Knowledge Cardによって、従来バラバラだった情報が一目でわかる形にまとめられ、検索にかかる時間や労力を大幅に削減できます。
Atlassian Knowledge Cardの機能概要
Atlassian Knowledge Card(ナレッジカード)は、Atlassianが提供するAI搭載検索サービス「Rovo」の一機能で、社内の分散した情報を集約し、検索結果のトップにカード形式で表示するものです (企業内に眠れる知識を解放する新製品:Atlassian Rovo | Atlassian Japan 公式ブログ | アトラシアン株式会社)。ユーザーが知りたい内容に応じて関連情報をコンテキストに沿ったスナップショットで示し、作業しながら即座に回答を得ることができます (企業内に眠れる知識を解放する新製品:Atlassian Rovo | Atlassian Japan 公式ブログ | アトラシアン株式会社)。この機能により、従来は部署やツールごとに埋もれていたナレッジを引き出し、必要な情報へのアクセスを容易にします。
主な機能と内容
Knowledge Cardには検索クエリに応じて様々な種類があり、それぞれ関連する詳細情報をまとめて表示します。代表的なカードの種類と内容は次のとおりです:
カード種類 | 内容・表示される情報 |
ユーザーカード | 社員やチームメイトの名前で検索すると、その人物に関する重要情報を表示します。例えば、写真、氏名、役割(職種)、所在地、所属チーム、頻繁に協働するメンバー、担当中の作業(最近関わったConfluenceページやJira課題など)がカードに含まれます ([検索する |
チームカード | チーム名で検索すると、そのチームに関する主要情報をまとめて表示します。チームメンバーの一覧や各自の役割、現在取り組んでいるプロジェクトや最近の成果物(ページや課題)など、チームの概要がカードで示されます ([検索する |
定義カード | 社内用語や略語の意味を尋ねるような検索(例:「〇〇とは?」)を行うと、Confluence上のナレッジベースから該当用語の定義が提示されます ([検索する |
プロジェクト/目標カード | プロジェクト名や社内プロジェクトのコードネーム、あるいはチームの目標などを検索すると、そのプロジェクトのステータスや関連ドキュメントへのリンク、担当者(貢献メンバー)などが一つのカードに統合表示されます ([企業内に眠れる知識を解放する新製品:Atlassian Rovo |
(検索する | Rovo | アトラシアン サポート) 社内略語「PTO」を検索した際に表示される定義カードの例。略語の意味(プランナー休暇=有給休暇)が要約され、情報源ページへのリンク(「HR Acronyms」「Types of leave」など)や関連する追加質問候補(「How do I request PTO?」)が提示されている。カード下部にはユーザーの権限に基づく内容である旨が明記されている。
利用用途・業務シナリオ
Atlassian Knowledge Cardは、日常の様々な業務シーンで知識検索と共有を強力にサポートします。
メンバーや組織情報の即時取得: 新しくプロジェクトに加わったメンバーの名前を検索すれば、その人物の基本情報や関与中の作業を即座に把握できます。これによりオンボーディングを円滑にし、誰に何を問い合わせるべきか素早く判断できます (企業内に眠れる知識を解放する新製品:Atlassian Rovo | Atlassian Japan 公式ブログ | アトラシアン株式会社)。
チーム間のコラボレーション支援: 他部署のチーム名を検索するだけで、そのチームのメンバー構成や活動内容を知ることができます。例えば「○○チーム」と検索して、どんなプロジェクトに取り組んでいるかを把握することで、部門横断の協力がスムーズになります。
プロジェクト状況の確認: プロジェクトコードやイニシアチブの名称で検索すると、最新の進捗や関連ファイル、担当者情報をカードで確認可能です (Atlassian Rovo brings AI smarts to enterprise search – Computerworld)。会議や報告書を待たずとも、プロジェクトの重要マイルストンやステータスを迅速に把握でき、ステークホルダーへの情報共有にも役立ちます。
社内ナレッジ・FAQの即答: 社内の専門用語や略語、手順に関する疑問を入力すると、その答えを含むナレッジカードや回答が返ってきます。例えば「VPNに接続するには」と質問形式で検索すれば、手順をまとめた回答カードが表示されます (検索する | Rovo | アトラシアン サポート)。これにより、従業員はマニュアルを探し回らずとも必要な情報を得られ、ヘルプデスクへの問い合わせを減らす効果も期待できます。
こうしたシナリオで、Knowledge Cardは従業員が日々費やしていた情報探しの時間を大幅に削減します。実際、Atlassian社の調査では従来の検索手段と比べてRovo検索(ナレッジカードを含む)の方がユーザーの60%も検索成功率が高まったとの報告があります (Bringing the magic of human-AI collaboration to every team - Work Life by Atlassian)。社内に蓄積されたHow-To記事やナレッジが的確に活用されることで、ナレッジ共有が促進され生産性向上につながります。
知識共有・検索性・AI活用の特長
Atlassian Knowledge Cardは、AIと統合データ基盤によって高度な知識検索体験を実現しています。
関連情報の統合と要約: 単なるキーワード一致の一覧ではなく、複数のソースから得た情報を統合し、文脈に沿った要約として提示する点が大きな特長です (アトラシアン、「TEAM TOUR Tokyo」でAIと共に躍進するチームワークの未来を提唱 | アトラシアン株式会社のプレスリリース)。検索クエリに該当する情報が社内のどこにあっても、ナレッジカードがそれらをひとまとめにしてエッセンスを抽出します。例えば、ある課題に関する複数のConfluenceページやJiraチケットの内容をまとめてカード化し、ユーザーは要点のみを迅速に把握できます。これにより、必要な知見を得るために複数の資料を行き来する手間が減少します。
対話的な知識探索支援: ナレッジカードには追加のフォローアップ質問の候補が表示されることがあります (アトラシアン、「TEAM TOUR Tokyo」でAIと共に躍進するチームワークの未来を提唱 | アトラシアン株式会社のプレスリリース)。ユーザーは提示された関連質問をクリックするだけで、更に深い情報や次のステップを簡単に追求できます。AIが文脈を理解して「次に知りたいこと」を提案してくれるため、単発の検索から発展して対話的・継続的にナレッジを掘り下げることが可能です。これはまさに人間とAIのコラボレーションによる学習体験であり、組織内の知識探索をナビゲートしてくれます。
「チームワークグラフ」による知識基盤: AtlassianのAI機能は、社内外のデータを統合した共通データモデル「Teamwork Graph(チームワークグラフ)」の上に構築されています (アトラシアン、「TEAM TOUR Tokyo」でAIと共に躍進するチームワークの未来を提唱 | アトラシアン株式会社のプレスリリース)。ConfluenceやJiraなどアトラシアン製品のデータはもちろん、接続されたGoogleドライブやSlackなどサードパーティツールの情報もグラフに取り込まれ、組織全体の目標・ナレッジ・チーム・業務のつながりがマップ化されます (アトラシアン、「TEAM TOUR Tokyo」でAIと共に躍進するチームワークの未来を提唱 | アトラシアン株式会社のプレスリリース)。このグラフにより、検索時には単一のデータソースに限らず横断的な関連性まで考慮した結果が得られます。さらに、チームの活動やプロジェクトの更新がある度にグラフが学習・拡張されていくため、ナレッジカードの内容もより充実し賢く進化していきます (企業内に眠れる知識を解放する新製品:Atlassian Rovo | Atlassian Japan 公式ブログ | アトラシアン株式会社)。
権限管理とセキュリティ: ナレッジカードおよびRovo検索は企業向けに設計されており、ユーザーのアクセス権限を常に尊重します。検索結果に表示されるのは、そのユーザーが閲覧権限を持つ情報のみであり、機密情報が不適切に露出する心配はありません (検索する | Rovo | アトラシアン サポート)。これはAIによる要約表示の場合でも同様で、裏側で参照したデータの閲覧可否を厳格に守ります (検索する | Rovo | アトラシアン サポート)。このように権限モデルと連動したAI検索基盤により、安心して組織全体のナレッジを活用できます。
以上の特長により、Atlassian Knowledge Cardは社内ナレッジの発見・共有を飛躍的に向上させ、必要な情報を必要な人に瞬時に届ける「AIアシスタント」として機能します (アトラシアン、「TEAM TOUR Tokyo」でAIと共に躍進するチームワークの未来を提唱 | アトラシアン株式会社のプレスリリース)。
連携するAtlassian製品
Atlassian Knowledge Card(Rovo検索機能)は、アトラシアンの複数の製品とシームレスに連携します。
Confluence(ナレッジ共有基盤): Confluenceと密接に統合されており、検索バーから直接Rovo検索が利用可能です。Confluence上の社内WikiやナレッジベースのページがKnowledge Cardの主要なデータソースの一つとなっており、定義カードではConfluence内のページから抽出した情報が表示されます (検索する | Rovo | アトラシアン サポート)。社内ドキュメントの即時検索・要約表示という形で、Confluenceの情報資産を最大限に活用できます。
Jira(プロジェクト管理/課題追跡): Jiraとも連携し、課題やプロジェクトに関する情報がナレッジカードに反映されます。例えばユーザーカードではJira上の担当チケットや最近の活動が示され、プロジェクトカードではJiraプロジェクトのステータスや関連する課題の状況が統合表示されます (Atlassian Rovo brings AI smarts to enterprise search – Computerworld)。また、Rovo ChatはJiraソフトウェア内でも利用でき、未解決の課題一覧を質問して取得する、といった使い方も可能です (Explore Rovo features | Rovo | Atlassian Support)。
Jira Service Management(サービスデスク): Jira Service Management(JSM)においてもRovoのAI機能が活用されています。社内のヘルプセンターでユーザーの問い合わせ内容を受け付ける際、バックエンドでKnowledge Card/回答機能が関連するナレッジ記事(Confluenceの知識記事)を検索し、自動応答や記事の推薦を行います (アトラシアン、「TEAM TOUR Tokyo」でAIと共に躍進するチームワークの未来を提唱 | アトラシアン株式会社のプレスリリース)。これによりサポート対応の初期段階で適切な情報提供が可能となり、エージェントの負担軽減と顧客満足度向上につながります。
その他のAtlassian製品: Atlassian Rovo自体はアトラシアンのクラウドプラットフォーム全体に組み込まれて提供されるAIサービスであり (アトラシアン、「TEAM TOUR Tokyo」でAIと共に躍進するチームワークの未来を提唱 | アトラシアン株式会社のプレスリリース)、上記以外にも必要に応じて他のクラウド製品とデータ連携します。たとえば、組織のチームやプロジェクト目標を管理するAtlasのデータ(OKRやプロジェクトの進行状況)も、Knowledge Cardの情報源として活用される可能性があります (企業内に眠れる知識を解放する新製品:Atlassian Rovo | Atlassian Japan 公式ブログ | アトラシアン株式会社)。さらに、BitbucketやTrelloなど他のアトラシアン製品、およびGoogleドライブやMicrosoft 365といった外部ツールからの情報もコネクタ経由でインデックスされるため (Bringing the magic of human-AI collaboration to every team - Work Life by Atlassian)、必要に応じてKnowledge Cardに関連情報が表示されます。これら連携により、ユーザーはアトラシアン製品間を移動することなく、一つの検索インターフェースで横断的な情報アクセスが可能です。
最後に付け加えると、Atlassianは2024年の「Team ‘25」カンファレンスにてRovoをJiraやConfluence、Jira Service Managementの既存ユーザーへ順次提供する計画を発表しており (Bringing the magic of human-AI collaboration to every team - Work Life by Atlassian)、Premium以上のプランからこのKnowledge Cardを含むAI機能が利用できるようになります。今後さらに多くのユーザーがAtlassian Knowledge Cardを通じて社内ナレッジを有効活用し、AIと人間の協業による生産性向上を実感できるでしょう (アトラシアン、「TEAM TOUR Tokyo」でAIと共に躍進するチームワークの未来を提唱 | アトラシアン株式会社のプレスリリース)。