1. はじめに
Excel 時代に経験した「マクロ職人依存 vs プロセス共有」の教訓は、AI 時代にそのまま拡大されます。個人ツールとしての AI で満足するか、業務プロセスに組み込み組織的な学習ループを構築するかで、数年後の競争力には決定的な差が生まれます。
そもそもExcelの情報というのは、どこからか入手したものを手で入れていることが多く、その処理に多くの条件を”後から”つけていることが多いです。
データを受け取る時に最初から条件をつけたり、データが変るときにデータのチェックを自動で入れるなどの処理をワークフローの中で行うことでまとめてマクロで処理する等が不要になります。
2. なぜAIで属人化が再来するのか
自分専用のプロンプト:各自が ChatGPT や Copilot に独自プロンプトを溜め込み、自分専用ワークフローを作成。退職・異動でノウハウが雲散霧消。
ブラックボックス化:生成結果の根拠(プロンプト/データソース)が共有されず、監査や改善が困難。
データ分散:フィードバックが個人端末やブラウザに閉じ、モデル改善に活かせない。
3. プロセス組み込み型のメリット
再現性と監査性:APIやプラットフォームの自動を活用し、ログを残すだけで監査対応が容易。
継続的学習:プロンプト・モデルをリポジトリ管理し、バージョン差分をトラッキング。
指数関数的スケール:全社データで学習するため改善速度が個人利用の比ではない。
比較表
観点 | 個人利用AI(Excelマクロ型) | プロセス組み込みAI(SaaS型) |
主な実装 | 各自がChatGPT/Copilotを直接利用 | プラットフォーム内/API/コネクターでワークフローに統合 |
知識共有 | 口頭・共有ファイル依存 | プラットフォームで プロンプト/モデルを管理 |
監査・ガバナンス | 困難:根拠が残らない | ログと権限管理で容易 |
改善サイクル | 個人の手作業 | 全社フィードバックで学習し改善 |
リスク | 退職=ノウハウ消失 | プロセスに残るため継続可能 |
期待効果 | 短期的な効率 | 中長期で指数関数的成長 |
4. 次に取るべきアクション
ワークフローを構築できるSaaSの選定
業務マップ作成:AI を挟み込める既存フローを棚卸し。
PoC 実施:低リスク領域(例:定型レポート生成)から API 連携を試行。
教育とガバナンス:利用ガイドラインと監査ルールを策定。
「Excel マクロ沼」を経験した私たちは学びました。属人技に頼らずプロセスに落とし込んだ企業が勝つ――AI も全く同じです。