Atlassian Cloud Platform 2025版
Atlassian はこれまで「Jira」「Confluence」「Jira Service Management」など、
アプリ単体での提供が中心でした。
しかし2024年以降、Atlassian は提供モデルを大きく転換し、
Collection(コレクション) という業務領域ごとの統合セットで提供する方向へ移行しています。
この新しい考え方は、Atlassian が提唱するSystem of Work(企業のあらゆる仕事の体系) を実現するための中核となるものです。
Atlassianが提供する4つのCollection(2025年時点)
Atlassian のクラウド製品は、現在以下の 4つのCollection に体系化されています。
Teamwork Collection(チーム全体のコラボレーション領域)
Software Collection(ソフトウェア開発領域)
Service Collection(ITサービス / カスタマーサポート領域)
Strategy Collection(企画・戦略・ロードマップ領域)
この4つのCollectionを基盤に、Atlassianは企業に必要な「仕事の流れ」をサービスとして提供しています。
1. Teamwork Collection(チーム全体の協働を支える中核)
Atlassian全体の中心であり、すべてのチームが使う“共通レイヤー”。
■ 目的(何を解決する?)
情報共有の分断(メール / Slack / 口頭の乱立)をなくす
プロジェクトの全体像を“透明化”
会議・報告・ドキュメント作成のコストを削減
非同期コミュニケーションを促進する
■ 主要アプリ
Jira(タスク・プロジェクトの統合管理)
Confluence(ナレッジ・ドキュメント管理)
Loom(動画による非同期共有)
■ 特長
全職種が利用するAtlassianの“フロントドア”
文書・動画・タスク・成果がすべて一元化
汎用性が最も高く、他Collectionの情報も集約する“Hub”
■ 向いているチーム
全てのチーム
(開発、バックオフィス、経営、企画、営業、マーケ、サポート)
■ 他Collectionとのつながり
Software:開発タスクがJira中心
Service:JSM/CMSでの依頼がJiraへ
Strategy:ロードマップや企画がJira/Confluenceへ反映
2. Software Collection(ソフトウェア開発ライフサイクルの中心)
エンジニアリング向けのCollectionで、“計画 → コード → テスト → デプロイ → 運用” を一気通貫。
■ 目的(何を解決する?)
ツールの分断(Git / CI / API管理)を統合
開発の進捗・品質・依存関係の可視化
変更リスクの低減
開発者体験(DevEx)の大幅向上
■ 主要アプリ
Jira(開発課題管理)
Bitbucket(Gitリポジトリ)
Bitbucket Pipelines(CI/CD)
Compass(Developer Experience Hub
Opsgenie(インシデント管理 / アラート
DX(Developer Experience:Compassへ統合)
Rovo Dev(開発者向けAIアシスタント
■ 特長
コード、PR、タスク、仕様書がすべて自動連携
マイクロサービスの依存関係を可視化
Rovo Dev によりPR要約、テスト生成、コード提示が自動化
DevEx を包括的に管理できる唯一のスイート
■ 向いている組織
Webサービス企業
SRE/Platformチーム
APIが多いマイクロサービス企業
10〜1000名規模のエンジニア組織
■ 他Collectionとのつながり
Strategy:企画(JPD)→ 開発着手(Jira Software)
Service:インシデント(JSM)→ 修正PR(Bitbucket)
3. Service Collection(ITサービス&外部サポート)
Jira Service Management(JSM)を中心とした、社員・顧客の“依頼・問い合わせ”を集約するCollection。
■ 目的(何を解決する?)
社内依頼(IT/人事/総務)の属人化をなくす
顧客サポートの品質向上 (Customer Service Management)
インシデント復旧のスピード向上
構成管理(CMDB)と変更管理の統合
■ 主要アプリ
Jira Service Management(JSM)
Assets(CMDB / IT資産・構成管理)
Customer Service Management(外部顧客向けCXサポート)
■ 特長
ITIL準拠(Incident / Problem / Change)
CMDB と各課題が完全連携
顧客窓口と社内窓口を統合できる
開発(Software Collection)と自動でつながる
■ 向いている組織
IT部門全般
情シス
サポートセンター
BtoB SaaS企業
■ 他Collectionとのつながり
Software:インシデント → PR → リリース
Teamwork:ナレッジ → 自動回答・SLA管理
4. Strategy Collection(企画・優先順位・戦略アラインメント)
企画 → 優先度 → 戦略 → 実行の橋渡しを担う上位レイヤー。
■ 目的(何を解決する?)
「何を作るべきか?」の判断を科学的に行う
経営と現場がずれる問題を解消
ロードマップと実行を統合
顧客価値に基づいた機能優先順位付け
■ 主要アプリ
Jira Align(戦略管理/SAFe)
Jira Focus(戦略基盤・経営指標)
Talent(スキル・リソース管理)
■ 特長
顧客価値・インパクト・コストの科学的評価
経営戦略(OKR)と実行(Jira)の接続
大規模組織の複雑な企業戦略を可視化
■ 向いている組織
プロダクトマネジメント
経営企画
大規模アジャイル組織
■ 他Collectionとのつながり
Software:企画 → 開発へ
Teamwork:アイデア/NPS/フィードバック → 全社共有
5. Guard Premium(コンテンツセキュリティ)
Atlassianの最上位セキュリティ製品。
■ 提供される主要機能
① DLP(データ損失防止)
Jira / Confluence / JSM / Bitbucketをスキャン
個人情報 / カード情報 / APIキー / 秘密情報を検出
アップロード拒否・マスキング・アラート
② 機密情報の分類(データ分類ラベル)
機密 / 社外秘 / 内部 / 公開可 の分類
分類情報はAI(Rovo)も尊重
→ 機密情報がAI回答に出ない
③ 異常行動検知(Suspicious Activity Detection)
急激なデータアクセス
大量ダウンロード
異常IP
→ 自動遮断・自動アラート
④ BYOK / Customer Managed Encryption
企業が自分の鍵でデータ暗号化可能。
⑤ 外部共有制御
Confluenceのパブリックリンクを禁止。
🤖 6. Rovo(AI)のデータ取り扱いポリシー
■ モデル学習は行われない
Atlassian公式:
“We do not use customer data to train foundation models.”
■ 外部モデルは処理後データを破棄
データは保存されない・学習されな
■ 権限・DLPポリシーはAIにも完全反映
Teamwork Graph と Guard Premium が AI を安全に包む。
■ コードも学習されない(Rovo Dev)
7. Teamwork Graph(データ関係モデル)
全製品のデータをつなぐデータフレームワーク
Jira課題
Confluenceページ
PRコード
インシデント
アイデア
コンポーネント
8. Jira Product Discovery(新しいアイデアを形にする“企画・戦略”の中核)
Atlassianの“アイデア→計画”を担うレイヤー。
プロダクト企画・要望管理・優先順位づけを一元化する場。
■ 目的(何を解決する?)
顧客の声・要望が散乱して企画に落とし込めない
“なんとなくの優先度”でロードマップが決まる問題
企画・仮説・データ・背景をセットで共有できない
プロダクト戦略と実装タスクが切り離れてしまう
■ 主要アプリ
Jira Product Discovery(アイデア管理・優先順位づけ)
■ 特長
アイデア、課題、顧客要望、データを1つのバックログに整理
スコアリング・投票・重み付けで科学的に優先度を決定
企画書・根拠・仮説・影響範囲を可視化
そのままJira Softwareの実装タスクへ連携できる
ステークホルダーとの非同期コラボがやりやすい
■ 向いているチーム
プロダクトマネジメント
企画・戦略チーム
データチーム
顧客要望を扱うCS・営業
新規事業チーム
■ 他Collectionとのつながり
Software:決まったアイデアがそのままJiraの実装タスクへ
Teamwork:企画背景・資料・動画をConfluence / Loomで共有
Service:CSから上がった顧客要望をJPDに集約
Strategy:会社のロードマップやOKRとアイデアを結びつける
9. 全体まとめ
Collectionで業務領域ごとに統合
RovoがAIとして横断
Teamwork Graphがデータの一元化
Guard Premiumが内容セキュリティの最終防衛線
AIはモデル学習にデータを使用しない
Atlassianは「AI × データ × 業務領域 × セキュリティの統合クラウド基盤へ進化しています。
