「できる」と「持続的な運用」は違う
現在のAIビジネスは非常に華やかで、さまざまなことが「できる」と喧伝されています。しかし、企業にとって本当に重要なのは、AIを利益につながる形で実装し、それを持続的に運用できるかどうかという点です。
ここで言う「持続的な運用」とは、単なる導入後の放置ではなく、業務フローに組み込まれ、日々の運用の中で適切に管理され、継続的に改善されていく活動を意味します。
そのためにはまず、既存の業務プロセスを見直し・改善することが不可欠です。プロセスが整理・最適化されていなければ、自動化しても効果が出ず、AIを導入しても期待通りに機能しません。
加えて、プロセス改善を経ずにAIだけを導入してしまうと、表面的な効率化にとどまり、本質的な課題は解決されないまま、むしろ無駄なコストを払い続ける結果になりかねません。
だからこそ、「プロセス改善 → 自動化 → AIの活用」というステップを確実に踏むことが重要と考えています。
一時的な話題性や派手なデモンストレーションではなく現場を巻き込む
一時的な話題性や派手なデモンストレーションではなく、現場で実際に機能する形に落とし込む力が不可欠です。
データの所在やシステム間のRAGといった技術的な課題も当然存在しますが、それらは知識と技術で解決可能な領域です。
本質的に問われるのは、AIソリューションを現実の業務に組み込み、継続的に活用できる運用体制を確立できるかどうかということです。
そのためには、AIと人間が適切に協調する設計思想、すなわち「AI/ヒューマン・イン・ザ・ループ(Human-in-the-Loop: HITL)」という概念が重要となります。
補足:AI/HITL(AI Human-in-the-Loop)とは
HITLとは、AIシステムの判断や処理の一部に人間の介在を組み込む設計アプローチです。完全自動化ではなく、人間が確認・補完・修正・承認を行うことで、以下の効果が得られます:
精度や信頼性の向上
倫理的・判断的リスクの軽減
継続的な学習と改善のフィードバックループ形成
HITLは、初期段階のAI導入や、判断の透明性・説明責任が求められる領域において特に有効です。
これからAI運用設計のために新職種「AIワークフロー設計人材」「ヒューマン/AIオペレーション設計人材」の需要が増えます。
補足:ConfluenceとRAG(Retrieval-Augmented Generation)技術
RAGは、大規模言語モデル(LLM)が生成を行う前に、外部のドキュメントやデータベースから情報を取得・参照しながら出力を生成する手法であり、モデル単体では持ち得ない知識の補完が可能です。
しかし、Atlassian Confluence は、このRAG相当の機能をすでに備えています。Confluenceに蓄積されたドキュメントやナレッジは、AIによる自然言語クエリに対して、文脈を踏まえた検索・抽出・要約による応答が可能で、結果的にRAGと同様の動作を実現しています。
さらに、Confluenceには、AIが参照・学習対象とする情報をコントロールできる機能があり、極秘情報や判断に影響するセンシティブデータを明確に除外できる構造になっています。これにより、セキュアかつ信頼性の高いAI活用が実現できます。
つまり、RAGをゼロから開発・導入する必要はなく、Confluenceを活用することで、すでに業務に直結したナレッジ連携型AI環境が整います。
INNOOV(イノーブ)の業務改善/AI導入支援スタンス
INNOOVでは、企業のAI活用を単なる「導入」で終わらせるのではなく、「運用」「改善」「定着」までを見据えた、実践的かつ継続的な支援を提供しています。
重視するのは以下の3ステップです:
業務プロセスの可視化と本質的な改善
改善されたプロセスの自動化
その上でのAI導入と運用体制の設計
この順序を飛ばさず、現場の実態に即した形で丁寧に進めることで、AIの導入効果を最大化し、持続的な価値創出へとつなげることが可能になります。
さらに私たちは、単なる導入支援にとどまらず、企業の変化・成長に伴走するパートナーであることを重視しています。設計から運用・教育、改善を支援し、社内の自走力を育てる支援にも力を入れています。
INNOOVのスタンスは、「一緒に作る」「一緒に動かす」「一緒に変えていく」。
技術の話で終わらせず、現場と成果をつなげることにこだわります。