はじめに:タスク管理と“作業メモ”の違い
個人のタスク管理は本当に「タスク管理」なのでしょうか?
会社で働いている以上、「個人だけで完結するタスク管理」は根本的におすすめできません。世の中にはさまざまな「個人のタスク管理法」が存在しますが、それらは実際にはタスク管理ではなく、単なる"作業メモ"にすぎません。
タスクというものは、誰かにアサインされ、期限が設定されたあとでも状況に応じて優先度が変わるものです。そのため、プロジェクトチームや関係者と優先度を随時共有し、確認しながら進めていくことが不可欠です。
たとえフリーランスであっても、納品前にドキュメントやタスクの内容を他者と共有できる環境があるなら、それを活用すべきです。タスクを「自分の中だけ」で管理している場合、それが「今、本当にやるべきことなのか」は客観的に判断できません。
理想的なのは、プロジェクトの中心にタスク管理ツールとドキュメント共有ツールがある状態です。そこに全員がアクセスし、同じ情報をもとに優先度や進行状況を確認することで、はじめて「今やるべきタスク」が明確になります。
専門的には、SSOTを組織で構築していく必要があります。
SSOT(信頼できる唯一の情報源)
SSOT: Single Source of Truth(信頼できる唯一の情報源)とは、組織内の全員が同じデータに基づいてビジネスの意思決定を行うことを保証するために使用される概念
タスクを“見える化”して他者と共有しない限り、それはタスクではなく、単なる「自分の作業メモ」に過ぎません。個人で管理しているうちは、「本当に必要な仕事かどうか」は常に曖昧なのです。
なぜ個人管理だけでは危ういのか?
個人で管理しているタスクは、他者からのフィードバックやプロジェクトの全体像が反映されにくく、常に「自分が思っている優先度」で動いてしまいます。そのため、チームとして必要な調整やリスク共有が行われず、結果的に非効率な進行や見落としにつながる可能性があります。
本来こちらやらないといけないのに、別のものから着手するリスクが個人管理にあります。
プロジェクトに関わる以上、作業は常に関係者とつながっています。タスクの優先順位や意味を共有しなければ、最も重要なことが後回しになっていた、という状況も珍しくありません。
真のタスク管理に必要なものとは
タスクを本来の意味で管理するには、まず所属するプロジェクトで使用するツールを明確に決めることが重要です。タスクだけでなく、ドキュメント管理ツールと一体で運用する体制が必要です。
さらに、タスクを上位の目的や成果物であるエピック(Epic)で束ねることで、個々のタスクがプロジェクト全体のどこに位置するのかが明確になります。このエピック単位でマネジメント層と進捗を共有することで、戦略的な判断と調整が可能になります。*Epicとはタスクの塊のこと
アジャイルプロジェクト管理 エピック、ストーリー、テーマ
https://www.atlassian.com/ja/agile/project-management/epics-stories-themes
本来タスクには、作業する内容・開始日・期限・担当者・優先度(プロジェクトオーナーが設定する優先度)を設定することが必須です。*これらの条件がそろって初めてタスクになります。
必要に応じて完了後のレビューを行うチェック用カラムなどを設けると、タスクのライフサイクルがより明確になります。
チーム運用の具体例:エピック、朝会、共有フロー
効果的なタスク運用の一例として、以下のような日常運用が挙げられます:
毎朝の確認:各メンバーが順番に「昨日行ったタスク」「今日やるタスク」「困っていること」を共有
KANBANというタスクの一覧化ができる画面で確認することが理想です。
個別の相談:共有のあと、必要な人同士が個別に相談して解決策を検討
エピック単位の進捗確認:マネジメントとの報告や確認はエピック単位で実施
タスクレビューの設置:完了後に品質チェックやレビューを通すためのKANBANでのカラムを追加
このように、タスク・エピック・ドキュメントを毎朝の段階で全員で確認することにより、優先順位の再調整、問題の早期発見、役割の明確化などが自然に行われるようになります。
まとめ:タスクはタスクの目的を共有しながら進めていくもの
タスク管理とは、「何をやるか」をメモすることではありません。
「なぜ今それをやるのか」「やることで何が進むのか」「誰がどこまで進めているのか」
──これらを関係者とリアルタイムで共有し、調整しながら進めていくことこそが、真の意味でのタスク管理です。
タスクはただ“進める”のではなく、“共有しながら進め続ける”ための仕組みがあって初めて意味を持ちます。
まずはチームで使うタスク・ドキュメントツールを明確にし、朝会などの定期共有の流れをつくるところから始めてみてはいかがでしょうか。