内部監査は、企業の信頼性・透明性・持続可能性を支える必要の業務です。しかしながら、多くの組織では、監査業務が「後回し」「属人的」「非効率」になっており、証跡の収集、是正管理、関係者との情報共有に多大な手間がかかっています。
近年、これらの課題を解決する手段として、Atlassianの「Jira」と「Confluence」の活用が世界的に進んでいます。この記事では、海外企業の具体的な事例をベースに、内部監査プロセスがどのように進化するのかを多角的に掘り下げ、実際に導入を検討するためのヒントをお届けします。
JiraとConfluenceが実現する監査プロセスの可視化と一元管理
JiraとConfluenceは、監査業務における「タスク管理」と「証跡・ナレッジ管理」の両輪を支えるツールです。それぞれの特性を活かすことで、監査プロセスのデジタル化と業務効率化を推進できます。
Jiraの特性:タスク駆動・ワークフロー設計
Jiraはもともとアジャイル開発の課題管理ツールとして発展しましたが、柔軟なワークフロー設計や自動化ルール(Automation)機能を活かし、監査業務にも応用可能です。
主な機能例:
監査項目や是正アクションをチケット化して管理
担当者・期限・優先度の明確化
是正プロセスを段階的に設計(例:監査完了 → 是正要求 → 承認 → クローズ)
ダッシュボードで進捗やボトルネックを可視化
こうした仕組みにより、進捗の透明性を確保し、属人化の排除が可能となります。
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Confluenceの特性:監査証跡・ナレッジの集約
Confluenceはドキュメント管理+コラボレーションWikiとして、監査業務において以下を担います。
主な機能例:
チェックリスト・マニュアル・ポリシーのテンプレート化
過去監査の記録、是正報告書の一元管理
証拠資料や参考リンクの貼り付け・バージョン管理
担当者とのコメント・編集履歴の可視化
JiraとConfluenceは相互にリンクできるため、「タスクと証拠」の往復が簡単になり、エビデンス管理と作業進捗の一体化を実現できます。
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Before / After:導入前後の比較
このような特性を活かすことで、監査業務の課題はどのように解消されるのでしょうか。以下に、導入前後でのプロセス改善の例を示します:
項目 | 旧プロセス | Jira導入後 | Confluence導入後 |
タスク管理 | Excel・メール依存、進捗不明 | Jiraで可視化・ワークフロー管理 |
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証跡管理 | ファイルサーバに断片化 |
| Confluenceで一元管理・検索性向上 |
是正対応 | 担当者不明・期限遅れ | Jiraで責任者と期日を明示・自動通知 (通知機能はSlackやメールとも連携可能) |
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レポート | 手作業で作成、ミスが多い |
| ダッシュボードと自動レポート出力 |
ナレッジ蓄積 | 個人保存、再利用困難 |
| Confluenceテンプレートで標準化 (テンプレートは監査手順ごとに作成可能) |
海外事例
では、実際にJiraとConfluenceを活用して監査業務を改革した企業の例を紹介します。ここでは、3社の異なる業種の課題と解決策を取り上げます。
企業名 | 課題 | 効果 |
Praecipio(米国エネルギー企業)
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Build.com(米国EC企業)
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フランス大手保険会社
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導入ステップ例:スモールスタートで段階的に
監査業務へのJira/Confluence導入は、一度に全てを変える必要はありません。以下のような段階的アプローチが有効です。
目的整理:どの監査業務を効率化したいか明確化(例:是正管理、証跡収集)
最小単位の設計:Jiraでのワークフロー/Confluenceのテンプレートを作成
小規模導入・検証:監査対象の1部門や1項目から試験導入
ルールや資料の整備:通知・承認・文書連携の整備
全社展開と教育:成功事例を社内共有し、標準テンプレート化
成功のポイント
属人化した監査プロセスを可視化し、業務標準を確立することが最優先
JiraとConfluenceを一体で設計し、「作業」と「記録」の往復をゼロに
監査人だけでなく、現場やマネージャーも巻き込む体制づくり
レポートや記録資源が再利用可能になる設計を意識する
まとめ
内部監査業務は、組織の透明性と信頼性を支える基盤であり、そのDXは持続的な競争力にもつながります。
JiraとConfluenceを活用することで、監査業務の標準化・自動化・効率化を段階的に実現することが可能です。
自社の監査業務に変革の一手を打ちたいとお考えの方は、ぜひ本記事の事例や導入のステップをご参考にしてみてください。