メインコンテンツにスキップ

JiraとConfluenceで変革する内部監査プロセス:実例から学ぶ監査DXの戦略と実践

内部監査業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)において、AtlassianのJiraとConfluenceを活用した業務効率化・標準化の実践方法を、海外企業の事例とともに解説。タスク管理や証跡集約の改善から、導入ステップ、成功のポイントまでを網羅的に紹介します。

2週間以上前に更新

内部監査は、企業の信頼性・透明性・持続可能性を支える必要の業務です。しかしながら、多くの組織では、監査業務が「後回し」「属人的」「非効率」になっており、証跡の収集、是正管理、関係者との情報共有に多大な手間がかかっています。

近年、これらの課題を解決する手段として、Atlassianの「Jira」と「Confluence」の活用が世界的に進んでいます。この記事では、海外企業の具体的な事例をベースに、内部監査プロセスがどのように進化するのかを多角的に掘り下げ、実際に導入を検討するためのヒントをお届けします。

JiraとConfluenceが実現する監査プロセスの可視化と一元管理

JiraConfluenceは、監査業務における「タスク管理」と「証跡・ナレッジ管理」の両輪を支えるツールです。それぞれの特性を活かすことで、監査プロセスのデジタル化と業務効率化を推進できます。

Jiraの特性:タスク駆動・ワークフロー設計

Jiraはもともとアジャイル開発の課題管理ツールとして発展しましたが、柔軟なワークフロー設計や自動化ルール(Automation)機能を活かし、監査業務にも応用可能です。

主な機能例:

  • 監査項目や是正アクションをチケット化して管理

  • 担当者・期限・優先度の明確化

  • 是正プロセスを段階的に設計(例:監査完了 → 是正要求 → 承認 → クローズ)

  • ダッシュボードで進捗やボトルネックを可視化

こうした仕組みにより、進捗の透明性を確保し、属人化の排除が可能となります。

より詳しくJiraについて知りたい場合はこちらから

Confluenceの特性:監査証跡・ナレッジの集約

Confluenceはドキュメント管理+コラボレーションWikiとして、監査業務において以下を担います。

主な機能例:

  • チェックリスト・マニュアル・ポリシーのテンプレート化

  • 過去監査の記録、是正報告書の一元管理

  • 証拠資料や参考リンクの貼り付け・バージョン管理

  • 担当者とのコメント・編集履歴の可視化

JiraとConfluenceは相互にリンクできるため、「タスクと証拠」の往復が簡単になり、エビデンス管理と作業進捗の一体化を実現できます。

より詳しくConfluenceについて知りたい場合はこちらから

Before / After:導入前後の比較

このような特性を活かすことで、監査業務の課題はどのように解消されるのでしょうか。以下に、導入前後でのプロセス改善の例を示します:

項目

旧プロセス

Jira導入後

Confluence導入後

タスク管理

Excel・メール依存、進捗不明

Jiraで可視化・ワークフロー管理

証跡管理

ファイルサーバに断片化

Confluenceで一元管理・検索性向上

是正対応

担当者不明・期限遅れ

Jiraで責任者と期日を明示・自動通知

(通知機能はSlackやメールとも連携可能)

レポート

手作業で作成、ミスが多い

ダッシュボードと自動レポート出力

ナレッジ蓄積

個人保存、再利用困難

Confluenceテンプレートで標準化

(テンプレートは監査手順ごとに作成可能)

海外事例

では、実際にJiraとConfluenceを活用して監査業務を改革した企業の例を紹介します。ここでは、3社の異なる業種の課題と解決策を取り上げます。

企業名

課題

効果

Praecipio

(米国エネルギー企業)

  • 内部監査タスクの実施・レビュー手法が属人化、担当者ごとに進め方がバラバラ

  • 是正対応の進捗管理が煩雑で、期限超過や対応漏れが頻発

  • 証跡の記録がフォーマット化されておらず、過去の監査履歴を再利用しづらい状態

  • Jiraで監査タスクを標準化し、レビュー作業を一貫化

  • 是正対応に担当者・期限を設定し、自動通知により対応遅延を防止

  • Confluenceでテンプレートを整備し、監査証跡の再利用と文書整備を効率化

  • KPI付きJiraダッシュボードを用意し、経営層向けのレポート作成時間を大幅に短縮

Build.com

(米国EC企業)

  • PCI DSS準拠のため、開発ライフサイクルと監査プロセスの統合が必要

  • 監査証跡やレビュー記録が分散管理されており、監査対応のたびに手間と時間がかかっていた

  • 情報提供・証憑準備の工数が高く、監査対応が業務負担になっていた

  • Jiraで各開発工程をチケット管理し、レビュー・承認履歴を自動で記録

  • Jiraチケットの内容をそのまま証拠として活用

    • 紙やPDFの証憑提出が不要に

  • 「監査対応の一部をJiraで完結させる」体制を構築し、監査準備時間を60%削減

フランス大手保険会社

  • 監査タスクや是正対応の進捗管理が手作業で行われており、進捗の可視化が困難

  • 監査証跡や関連文書が分散して保管されており、情報の一元管理ができていなかった

  • 監査レポートの作成に多くの時間と労力がかかっていた

  • 各監査イベントをJiraのエピックやストーリーとして構造化

  • 監査証拠や契約書、ポリシー文書をConfluenceで集中管理

  • Jiraのレポートを自動で集計・出力し、コンプライアンスチームの負荷を軽減

導入ステップ例:スモールスタートで段階的に

監査業務へのJira/Confluence導入は、一度に全てを変える必要はありません。以下のような段階的アプローチが有効です。

  1. 目的整理:どの監査業務を効率化したいか明確化(例:是正管理、証跡収集)

  2. 最小単位の設計:Jiraでのワークフロー/Confluenceのテンプレートを作成

  3. 小規模導入・検証:監査対象の1部門や1項目から試験導入

  4. ルールや資料の整備:通知・承認・文書連携の整備

  5. 全社展開と教育:成功事例を社内共有し、標準テンプレート化

成功のポイント

  • 属人化した監査プロセスを可視化し、業務標準を確立することが最優先

  • JiraとConfluenceを一体で設計し、「作業」と「記録」の往復をゼロに

  • 監査人だけでなく、現場やマネージャーも巻き込む体制づくり

  • レポートや記録資源が再利用可能になる設計を意識する

まとめ

内部監査業務は、組織の透明性と信頼性を支える基盤であり、そのDXは持続的な競争力にもつながります。

JiraとConfluenceを活用することで、監査業務の標準化・自動化・効率化を段階的に実現することが可能です。

自社の監査業務に変革の一手を打ちたいとお考えの方は、ぜひ本記事の事例や導入のステップをご参考にしてみてください。

お問い合わせはこちらから

こちらの回答で解決しましたか?