内部監査の改善なくして、営業・開発にだけ成果を求めるのは矛盾がある
営業や開発部門に「成果」や「人件費の最適化」といった厳しい要請を課す一方で、内部監査部門が人材・技術の更新を怠っている状態は、組織全体にとって明らかな矛盾をはらんでいます。
■ コーポレート部門の現状維持が生むリスク
内部監査部門などのコーポレート部門は、直接的に利益を生まないものの、企業の統制・リスク管理・法令遵守の要を担う重要な存在です。しかし、営業や開発部門にだけ成果や効率を求め、内部監査を現状のままにしておくことは、組織全体のバランスを欠き、企業統治の質を損なう要因になります。
■ なぜ矛盾が発生するのか
成果主義の偏重:営業・開発にだけ成果を求めるのは不公平。監査部門にも変化への対応と成果(価値提供)が求められるべき。
旧来手法の限界:古い監査手法や非効率な運用のままでは、他部門の進化を正しく評価・支援できない。
カルチャーの硬直化:一部の部門だけが変革し、他は現状維持では「変化を歓迎する文化」は根づかない。
■ 現代に求められる監査部門のアップデート
内部監査もまた「進化」が必要です。以下のようなアプローチが、形式だけにとどまらない監査を実現します。
監査支援ツール(AI・自動化を含む)の導入:自動化と可視化で効率性・正確性を向上
外部視点の取り込み:第三者監査やクロスレビューによる客観性の担保
各業務プロセスに監査pointを組み込み自動的に監査のエビデンスが上がってくるようにする
人材ローテーションの活用:現場感覚を持った監査人材の育成と刷新
監査指摘事項が単純な業務リスクだけでなく、技術的な視点でも指摘できる
これらがなければ、監査は単なる儀式になり、企業の持続的成長を支える機能にはなり得ません。
■ まとめ
内部監査部門のアップデートを怠ったまま、営業・開発部門にだけ成果や効率を求めるのは組織としての合理性に欠ける行為です。全社的にDXが求められる今、監査部門も例外ではありません。変革に伴走する「攻めの監査」へと転換することが、企業の持続的成長には不可欠です。